海の異変でおなじみの“すしネタ”が消える? 専門家に聞く「未来予想図」【スーパーJチャンネル】(2024年8月2日)

 ウニが獲れなくなるなか、将来的にすしが食べられなくなる可能性もあります。どのような危機が迫ってきているのでしょうか。20年以上にわたり海の生物や環境を取材する科学ジャーナリスト・朝日新聞の山本智之記者に聞きました。

■数十年のうちに入手困難に?

 山本記者から提供いただいた写真には、本マグロの中トロ、赤身、甘エビ、ホタテ、赤貝、そしてイクラにウニと、すべて国産が撮影されています。

 ただ、将来的にウニや甘エビ、そして貝類のすしも、だんだんと姿を消してしまうかもしれません。

 大きな原因の一つが「海の酸性化」です。

 大気中の二酸化炭素が海に溶け込むと、海中も酸性化が進みます。カルシウムでできている殻のあるウニやエビといった甲殻類、そして貝類は海で生きていけないそうです。その結果、数が激減し、すしネタとして出てこなくなる可能性もあるそうです。

(Q.これは、いつ頃の話ですか?)

 今、被害が既に起きているわけではありませんが、すしネタの種類によっては、これから数十年のうちに手に入りにくくなってしまう可能性もあるそうです。

■日本の“すしネタ”が消える可能性 記者が提言

 ウニやエビが消え、残ったのはイクラ・赤身・中トロ。これらは大丈夫なのかと思いきや、そうではありません。何が影響を及ぼしているか、それは「温暖化」です。

 クロマグロは、生まれたばかりの赤ちゃんが、海水温が高いと生きられず、結果的に個体数が激減してしまう可能性があるそうです。

(Q.それも数十年のうちにということですか?)

 はっきりしたことは言えませんが、イクラも親のシロザケが冷たい海を求めて北上する結果、日本近海にいなくなり、国産のイクラも獲れなくなる可能性があります。近年、シロザケは東北地方で不漁が続くなど、温暖化による悪影響が既に出ているそうです。

 ということで、私たちが今後どのくらい二酸化炭素を出すのかにも左右されますが、将来的に日本で慣れ親しんだすしが消えてしまう可能性があります。

 山本記者は「そういった状況にならないためにも、CO2削減に取り組んでいく必要がある」と指摘しました。

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年8月2日放送)
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